Brands, Interview

ROKU / 豊かで心贅沢な暮らしを実現するアップサイクルブランド

今日は、規格外農産物などのいらなくなった資材をアップサイクルして作った製品を販売するブランド・ROKU(ロク)を紹介します!

💐ブランド情報

Online Store: https://6-roku.stores.jp/

💐ROKU(ロク)とは?

ROKUは、廃棄される野菜、くだもの、資源をアップサイクルした製品をつくっているブランドです。ブランドコンセプトは、「大地の恵みでご機嫌になれる、心贅沢な暮らし」。
ブランドの代表は、長崎県の高校生のふみさんと、大学生YouTuberのLong disさん。もともとLong disさんのファンだったふみさんが、一緒にプロジェクトを進める協力依頼のメールをLong disさんに送り実現したコンビだそうです。
ちなみにEthiteriaのライターは、高校生向け起業家プログラムのBLAST! SCHOOLでふみさんと出会いました。ふみさんのプロジェクトについてはそのときから耳にしていたのですが、今回ブランドを立ち上げるということを聞き、その製品がとても素敵だったので、すぐに取材を申し込んでしまいました笑

ROKUが主に問題視しているのは、規格外農産物の廃棄。
みなさんはスーパーや青果店に行ったとき、曲がりすぎたきゅうりや、いびつな形をしたナスなどを見たことがありますか?おそらくあまりないと思います。それは、農産物に「規格」という基準が設けられていて、規格に合うものだけが出荷されて店頭に並ぶからです。規格のおかげで農産物の品質が一定に保たれている一方で、食べられるにもかかわらず規格に合わない農産物の多くは廃棄処分をされていて、食品ロスの原因になっています。
規格の代表的なものに、「JAS」があります。みなさんもおそらく野菜などを買ったときにこのマークを見たことがあるのではないでしょうか。これは国による基準で、品質や生産方法などの基準を満たしたものはこちらのマークとともに販売することができます。また、多くの産地でも、出荷規格という別の規格を設定しています。
規格に合わない農産物は、ジュースなどの加工品や畑の肥料、家畜の飼料にするなどの活用方法もありますが、手間とお金の問題から多くは廃棄処分をされています。また、中には品質には何ら問題がないのにも関わらず、見た目が良くないからという理由で出荷されず廃棄されてしまう農産物もあるようです。
そんな状況に問題意識を抱えたふみさんは、規格外農産物を使った製品を何か作りたいという思いが強くなったとのこと。ブランドや製品に込めた思いについては、ふみさんにたっぷりお聞きしてきたので、下記インタビューをぜひご覧ください!

💐商品について

現在ROKUから発売されている製品は、「Botanical Soy Candle みかんの香り」というキャンドルです。オンラインストア、または、長崎県諫早市にあるcafe de ICHさんの店頭で購入できます。2022年5月からは長崎県外のあるお店で購入できるようになるそうなので、お楽しみに!

価格:¥4,840
サイズ:約75×60cm
燃焼時間:約45時間

こちらのキャンドルには、規格外のみかんの皮から取れた精油と、100%ソイワックスを使用しているそう。トッピングのドライフラワーも廃棄されるはずだった花が使われています。大豆油を主原料としたソイワックス等天然由来の素材でできていて、すすが出にくいので、さまざまなシチュエーションで活躍してくれそうですね。
詳しくは、ROKUオンラインストアから詳細をご覧ください。

💐インタビュー

今回は、ROKU共同ブランド代表の1人である、ふみさんにお話をお聞きしました!めちゃくちゃ熱意が伝わってくるインタビューでした。みなさんにもふみさんの思いが伝われば幸いです!

Q1. 「ROKU(ロク)」というブランド名の由来を教えてください。
山の「麓(ふもと)」にある資源の循環のお手伝いがしたい、というブランドコンセプトだったので、「麓」という漢字の音読み「ロク」から「ROKU」というブランド名が生まれました。また、数字の6には、光を当てるという意味合いがあるそうです。
なので、ROKUというブランド名と数字の6があしらわれたロゴに決めました。

Q2. このブランドを立ち上げたきっかけを教えてください。
大量生産/消費/廃棄という、現在の社会システムに挑戦したい思いからです。
私は長崎で生まれ育ったのですが、自然が豊かで美味しい野菜が取れる環境で生まれ育ったので、「食」と「自然」が大好きになりました。
ですが、あるとき「Taste the Waste(邦題:もったいない!)」というドキュメンタリー映画の予告編をYouTubeで見たときに衝撃を受け、今の社会が、自然や資源などのいろいろなものを犠牲に成り立っているということに気がつきました。
もちろん、豊かさを追求することが大切なのはわかっています。ですが、効率や生産性を考えることよりも、価値あるものを循環させ、心が贅沢になるようなもっと違った豊かさを追求することが大切なのではないかと今では考えるようになりました。

Q3. 規格外の野菜に目をつけたきっかけはなんでしたか。
「食」と「自然」という、私が好きで身近に感じていた2つの要素に直結するのが農作物だと思ったので、その問題から考えていきたいと思うようになりました。
製品開発の前に農家さん15人ほどにヒアリングをしたのですが、そのときに規格外野菜についての問題が浮き彫りになりました。長崎県の場合、野菜や果物の販路がJAのみであるため、規格内であればそちらに出荷できますが、規格外のものは山に埋めるなどの方法で処分されてしまうそうです。お金や手間が相当にかかるため、ジュースなどに加工している農家さんも少数派だそう。この状況を知ったときに、第三者が買い取って、何かに加工し、アップサイクル品として販売すれば良いのではないかと思うようになりました。

Q4. 今発売されているキャンドル(Botanical Soy Candle みかんの香り)の魅力を教えてください。
すごくたくさんありますね笑
まず、香りがめちゃくちゃいいということです。みかんのイラスト+ROKUのロゴが描かれたパッケージもめちゃくちゃ可愛いのですが、そのパッケージを開けた瞬間のみかんの香りがすごいんですよ。お客さんからレビューをいただくこともあるのですが、香りについてのコメントが1番多かったです。この製品の特徴はやはり規格外のみかんを使っているということなので、その香りを感じてもらえたらとても嬉しいです。
素材へのこだわりも大きな魅力だと思います。私たちのキャンドルは、よく使われている石油製のワックスではなく、大豆油を主原料としたソイワックスを使っています。すすも出にくく、生分解性も高いので、環境にもとても優しいです。
あとは、キャンドルの上の部分に飾りとしてあるドライフラワーもおすすめポイントです。実はこのドライフラワーも廃棄される予定だった花を使っています。ミモザがメインになっているのですが、その他の花は各キャンドルによって違っているので、唯一無二のデコレーションを楽しんでいただけるかと思います。

Q5. 初めての製品をキャンドルにしたのはなぜですか。
丁寧な暮らしって、必ずキャンドルがそばにあると思うんですよ笑 ROKUのコンセプトとして、心が豊かに、贅沢になる暮らしを発信していきたいという思いがあるので、キャンドルを最初の製品にしました。

Q6. キャンドルに使われているのはみかんだと思うのですが、みかんに着目したきっかけを教えてください。
農林水産省のデータより、果物の中で1番廃棄量が多いのがみかんだということを知ったからです。みかんは長崎の名産品でもあるので、驚くと同時に残念な気持ちになり、廃棄されてしまうみかんを使った製品を作りたいと思うようになりました。

Q7. 今、YouTuberのLong disさんと活動されてると思うのですが、どうやって2人は知り合ったんですか。
私はもともとろんちゃん(Long disさん)の大ファンだったんですよ。ブランドを立ち上げたいってなったとき、なんとなく、あ、ろんちゃんとやりたいって思うようになって笑 
ろんちゃんのYouTubeって、丁寧な暮らしの代表格みたいだと思ってたんですよね。でも、決して整いすぎていないところもあったりして、そのバランスがすごく好きだったんです。そういう生活をしているろんちゃんだからこそ取り入れられる視点があるんじゃないかなって感じて、一緒にやりたいという思いが強くなりました。
それで、自分のやりたいことと熱意を書いたラブレターみたいなメールを送ったんですよ。それで、ろんちゃんと話し、自分がやりたいことのプレゼンをしたのですが、それで意気投合しちゃって、一緒にやろうってなりました。あとから聞いた話なのですが、ろんちゃんって、企業のPR依頼とかを一切断ってきたらしいんですよ。でも私のメールには、本当に自分が必要とされているのがわかって、返事をしてくれたみたいです。その話を聞いたときにはめちゃくちゃ感動しました。

Q8. 製品開発で苦労したところなどはありますか。
協力してくれる大人を見つけるのが大変でした。みかんの皮から精油を取る作業が必要なのですが、そのやり方もわからないし、そんな専門の機械も持っていなかったし、何もかもが未知の世界でした。これが作りたい、というアイディアはあったのですが、それが本当に実現できるのか全くわからない状態で、最初は不安しかありませんでした。
今精油化については、独自の化粧品ブランドを持っている有機農家さんに依頼しています。オーガニックのみかんではないと精油化はできない、と最初断られてしまったのですが、数ヶ月後に、せっかく知り合ったし力になりたいから、ということで精油化に協力してくださることになりました。このように、今はたくさん協力してくださる方と繋がれて、やっと製品化にまでたどり着くことができました。

Q9. 団体として大切にしていることはありますか。
最近ろんちゃんと2人で話し合い、ブランドとしてのバリューを決めました。
1. 価値があるのに捨てられてしまう資源を循環し、仲介する役割をROKUが果たすこと。
2. 買う人がご機嫌になれるような、心贅沢な暮らしという価値観を広げていくこと。
3. 材料や生産者についてなど、商品の裏側も届けること。
4. いいものを適正な価格で売ること。これは3にも繋がりますが、どうしてその値段なのか、商品の裏側を知った上でお客さんに納得していただきたい思いがあります。
5. 生産者ファースト。農家さんに負担がかからないような工夫をする。
6. ブランドとしての成長にもしっかりこだわること。

Q10. ROKUの製品はどんな人に使ってほしいですか。
これからお金を使うことが増えてくるような、若い人に使ってほしいです。商品を買うとき、従来の値段や見た目などの基準だけでなく、商品の裏側(生産者の思いなど)を基準にする、という価値観が若い人の中で普通になれば嬉しいなと思っています。
ROKUの製品は値段が高く、高校生以下には少し届きづらいかなとも思っているのですが、ROKUのSNSなどを見て商品の裏側を知り、商品選択の基準について少しでも考える子が増えてくれればいいなと願っています。

Q11. ROKUとして今後展開していきたいことを教えてください。
廃棄品のプラットフォームになりたい、と思っています。農作物のA品(見た目や質量などが1番良いもの)はJAに出荷、B品はROKUに、みたいなシステムが作れればいいな、と。他の農作物や、波佐見焼*などの陶磁器、木材など、他の資源にも光を当てるお手伝いがしたいです。もちろん、キャンドル以外の他の製品もどんどんプロデュースしていきたいと思っています。
*長崎県の波佐見町付近でつくられる陶磁器のこと。

Q12. 最後に、この記事を見てくれている若者にメッセージをお願いします。
今の時代、商品を買うということは簡単ですが、どういう基準で商品を選ぶかは自分でしか決められません。値段や見た目という従来の基準だけでなく、製品が作られた経緯や生産者の思い、その製品が持つストーリーなど、新しい基準を取り入れていってほしいです。
ROKUはそういった新しい基準に合うような製品を発売していこうと思っているので、ぜひみなさんROKUのSNSとオンラインストアのチェックをお願いします!

💐参考

ROKUが関わる社会問題についてもっと知りたい方は、こちらのメディアをチェックしてみてください。

捨てられるたべものたち(食品ロス問題がわかる本)著・井出留美 旬報社 2020
https://www.junposha.com/book/b512675.html

“【わかる、えらぶ、エシカル#12】楽しみながらムダをなくす。 「フードロス削減」につながる商品を買おう | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS for GOOD.” Ideasforgood.jp, 8 Jan. 2021
https://ideasforgood.jp/2021/01/08/foodloss/

“もったいない!食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らそう | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン.” 政府広報オンライン, 2019
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201303/4.html

“規格外野菜とは・意味 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS for GOOD.” Ideasforgood.jp, 1 July 2019
https://ideasforgood.jp/glossary/imperfect-produce/

“アップサイクルとは?|廃棄物から生まれるサステナブルなプレミアグッズ | SDGs/エシカル|ノベルティ・オリジナルグッズの紹介やトレンド情報を発信中|株式会社トランス(東京・大阪).”
https://www.trans.co.jp/column/sdgs/sdgs_upcycle/

About Authors

Ethiteria運営者。長野県の高校に在籍しながらカナダの高校に通う高3。メディア運営、イベント開催、ポッドキャスト運営などを手がけたり、さまざまな課外活動を経験してきた。詳しくは「Our Story」へ。