Brands, Interview

Rulie / Z世代のためのクリーンビューティーコスメブランド

今回は、コスメブランド・Rulie(ルリー)さんを紹介します!

💐ブランド情報

コスメブランド・Rulie(ルリー)

学生団体・Claire(クレア)

コスメブランドRulieと並列する団体に、学生団体Claire(クレア)があります。
Claireはインスタグラムでクリーンビューティーやそのコスメについて紹介している団体です。まだ未登記ではありますが将来的には、株式会社Rulieの中に、学生団体ClaireとコスメブランドRulieが含まれているという組織構造になります。

💐Rulieとは?

Rulieは、Z世代にとことんフォーカスしたクリーンビューティーコスメブランドです。当時高校3年生だった代表のエリさんと、その仲間によって設立されました。現在はSNSでの情報発信や製品開発をしている段階で、今年の夏にクラウドファンディングをスタートし、秋に初めての製品を発売予定です。

🌱「クリーンビューティー」について

「クリーンビューティー」とは、近年アメリカを中心に広がっている考えのことで、肌・環境・社会に優しい化粧品に使われる言葉です。化粧品には華やかな印象が強いですが、その裏にさまざまな社会問題が隠されているのも確か。発がん性のある成分、残酷な動物実験、労働者の人権問題……近年それを見直そうという動きが欧米中心に盛んになり、政府や企業側も状況改善に努めるようになりました。(この問題について深く知りたい方は、下記「参考」をご覧ください。)
現にEUは、化粧品における動物実験と、健康被害があると疑いのある1,300種類もの成分の使用を数年前に禁止しました。アメリカでもPETA等の団体がさまざまな活動を行い、認証マークを作っています。また、韓国でも近年ヴィーガンコスメブランドが増加し注目を集めています。
筆者の私はカナダに留学していましたが、カナダではドラッグストアでも普通にヴィーガン、クルエルティフリー、有害成分不使用などの認証がついたコスメを買うことができます。大きなコスメショップに行ったときも、認証マークは売り場のとても見えやすい位置に表示されていて、消費者が選択しやすいようになっていました。

🌱設立者エリさんについて

RulieとClaireの設立者・代表のエリさんは、今年(2022年)の春大学生になったばかり。私はエリさんとBLAST! SCHOOLという高校生向け起業家プログラムで出会いました。幼少期からコスメが大好きだったというエリさんは、コスメの知られざる残酷な裏側を知ったあと、クリーンビューティーという言葉に出会ったそう。そこで日本のクリーンビューティーの状況に課題を感じ、さまざまな活動を始めたとのことです。(詳しいストーリーは下記インタビューにて!)

🌱Ethiteriaライターから見たRulieの魅力

私がRulieについて特筆したい魅力は主に3つあります!

1. エシカルさとZ世代に響くデザインの両立
私もよくインスタグラムをチェックしていて思うのですが、日本発のエシカルな製品は私たちZ世代にとってシンプルすぎるものが多いです。かわいくておしゃれなエシカルな製品って、欧米に比べて日本にはなかなかないんですよね。
欧米の方が社会問題に関心を持ったり行動するZ世代が多いからかな、とは思うのですが、日本にもエシカルに興味を持つ若者が増えてきているのは確かです。そんな今の時代に合ったコスメをRulieさんは発売予定。実際にアイシャドウのサンプルをエリさんに見せてもらったのですが、とてもかわいくて色味も素敵で、発売が待ち遠しくなりました!

2. 世界観とその表現の仕方
RulieやClaireの各種SNSは、色合いやモチーフ、ロゴなど含め、エリさんが作りたいブランドのコンセプトがよく伝わってくるデザインになっています。
エリさんと出会った高校生向けの起業家プログラムで、エリさんのスライド資料などを何度か見たことがありますが、それも色味やデザインなどがブランドのイメージと統一されていたのを覚えています。
Rulieの世界観に惹かれる方は絶対に多いはず!ぜひ上記SNSをチェックしてみてくださいね。

3. 代表エリさん率いるチーム
現在Rulieを構成しているチームメンバーは、代表エリさんが学校/塾/課外活動で知り合った仲間です。
ぜひ皆さんRulieのNoteをチェックしてみてほしいのですが、とても面白く個性豊かなメンバー構成になっています。特に最初の方の記事は、Rulieそれぞれのメンバーがなぜエリさんのチームに入ることを決めたのか、などのストーリーが書いてあるのですが、皆それぞれに強い熱意があるのがわかります。
そして、エリさんに惹かれてチームに入った、という人はとても多いです。エリさんの人望の多さとリーダーシップが見て取れますね。

Rulieの今後の成長が楽しみですね!皆さんぜひ、Rulieの各種SNSをチェックして情報を追ってみてくださいね🥰

💐お知らせ

Rulieは、4月30日と5月(詳細未発表)にイベントを予定しています。

「サステナブルはじめの一歩 in 川口」
日時:4/30(土)10:00-17:00
場所:M-GALLERY(〒332-0016 埼玉県川口市幸町3-1-15-G)
参加費:無料
内容:
・代表エリさんのトークショー
・その他サステナブルに取り組む方のお話や体験コーナーなど
詳細の確認とチケットのお申し込みはこちらから!

💐インタビュー

Q1. エリさんがクリーンビューティーに関心を持つようになったきっかけを教えてください。
私は小学校5年生くらいのときから化粧品が大好きで、将来は化粧品業界で働く!と言ってたんですよ。私にとって化粧品は、キラキラしていてかわいい本当に素敵なもので、これで人を幸せにしたい!とずっと思っていました。
でも、高校生になって、あるとき友達から送られてきた動画が動物実験に関するものでした。それを見たとき、その残酷さにすごく衝撃を受けたんですよね。特にそのときはいろいろな社会問題を知って、そのひどい状況が心に苦しく刺さっていた時期だったので。動物実験を一概に悪いものと言い切り、今までの歴史を否定することは必ずしもできないと思っていますが、当時の私にとって、自分が大好きな化粧品が命の犠牲の上に成り立っているという側面がとてもショックでした。
それからいろいろ自分で調べたとき、化粧品の製造過程で排出されるCO2の排出問題や、使われたあとのパッケージの廃棄問題などを知り、今まで気づかなかった闇の部分にも目を向けるようになりました。
その後、クリーンビューティーという言葉に出会ったんです。美しくなれるだけでなく、環境や社会に配慮されているというクリーンビューティーコスメは理想的だと感じ、自分でそれを広めていきたいと思うようになりました。

Q2. エリさんの思う、日本のクリーンビューティーの課題を教えてください。
私は大きく3つの課題があると思っていて、そのためにそれぞれ違う活動をしています。
1つ目は、クリーンビューティーに関する情報が少ないということです。VOGUEの特集記事などはありますが、日常的にクリーンビューティーについて知れる機会があまりないなと思ったんです。消費者の購買に直結させるためには、インスタグラムなどの気軽な媒体で頻繁に発信していく必要があるかな、と。そこで、Claireを立ち上げ、インスタグラムでクリーンビューティーの化粧品について紹介することを決めました。
2つ目の課題は、Z世代がときめくようなクリーンビューティーブランドが日本にないということです。日本の代表的なクリーンビューティーブランドは、価格も高く、デザインもクリーンであることを全面に押し出しているような感じで、ターゲット層を50〜60代としています。自分もクリーンビューティーのコスメが良いといいつつ、流行りのキラキラしたかわいいパッケージの韓国コスメなどに惹かれてしまうことがよくありました。なので、Z世代のための、私自身も本当に欲しいと思えるような化粧品を作るために、Rulieを立ち上げることにしました。
3つ目の課題は、日本で「クリーンビューティー」という言葉の定義がしっかりしていないということです。クリーンビューティーが何かを説明するにはとても長い言葉になってしまうし、企業やブランド、国によっても基準が全然違ったりします。なので私は、一般社団法人クリーンビューティージャパンという団体に入り、そこで日本独自のクリーンビューティーの定義づけと認証を作ることを目標に現在動いています。

Q3. ブランドとして大切にしていることを教えてください。
今OEM*の方など大人の方と価格設定などについて話している段階なのですが、ビジネスとしてやっていくためには、最初はZ世代ではなくもっと上の世代をターゲットにした方がいいのではないか、など、利益のことを考えた現実的な意見もよくいただきます。でもそういうことを言われたときに私が変えたくないと感じたのは、私自身が本当に欲しいものを作る、ということです。同世代でなく大人をターゲットにするのもいいかもな、と思うこともあったのですが、私自身が今めちゃくちゃ欲しいと思っているものではない製品を作っている自分が全く想像できなくて。
たとえ難しかったとしても、Z世代によるZ世代のための商品を作る、そこを考え抜くという点は諦めたくない部分です。
*他社や発注元の名義やブランドの製品を製造するもしくはその受託側企業

Q4. Rulie、Claireそれぞれ名前の由来を教えてください。
Claireは、フランス語で「透明」などの意味があります。クリーンビューティーらしい言葉で、インスタグラムでのヒット数が少ないものを探しました。
Rulieについては、何か日本らしい名前にしたいと考えていました。国によってクリーンビューティーの規制が違う中、他の国の制度をそのまま日本に当てはめるのは難しいと感じていたので、日本独自の”Japanese Clean Beauty”を確立したいという思いがありました。
それで、私の曽祖母が「瑠璃子」っていう名前なんですよ。それで、「るりって響きかわいいな」と思いついたんです。
それに、「瑠璃」という宝石には、「真実を伝える」という石言葉があるそうです。クリーンビューティーブランドとして、大企業にはない製造過程・原材料の透明性や、一見無謀と思われる中でどうやって製品開発をしていったのか、どんな苦労があったのか等を伝えていけるブランドになればいいなと思って、「るり」という言葉を使うことに決めました。スペル「Rulie」は、祖母の名前「Ruri」と、私の名前「Ellie」を組み合わせたものです。

Q5. Rulieはどんなスケジュールでローンチ予定ですか。
今は広報を進めていて、夏頃にクラウドファンディングをして資金調達をしようと思っています。また、ウェブサイトもその時期に公開できれば良いなと。そして、今年10月頃には製品の販売をスタートさせたいと思っています。

Q6. Rulieの販売予定の商品と、その魅力を教えてください。
販売予定の商品は、紫をテーマカラーにした4色のアイシャドウパレットです。
まず特徴的なのは、詰め替えタイプになっていて、自分好みのパレットを作れるということです。アイシャドウって、自分の好きな色だけ多く使って、他の色は残ったまま捨ててしまうことがよくあるじゃないですか。それがすごくもったいないと思ったので、一色一色が取り外し可能で、自分の好きな色を自由に組み合わせて作れるリフィルタイプにしました。パレット本体には最大4色入りますが、2色だけ入れて余ったスペースにアイシャドウチップを入れることもできます。色のバリエーションは予算の都合で4色しかまだないのですが、将来的にはもっと増やして、お客さんが自由にカスタマイズできるようなアイシャドウパレットにしていきたいと思っています。
また、今回開発した4色の色味にはとてもこだわりました。紫のアイシャドウに抵抗がある方は多いかと思うのですが、4色全てとても使いやすい色合いにしました。
まず1番濃い締め色の紫ですが、これは主に陰を書くときに使えます。ブラウンで陰を描く人は多いと思いますが、この紫の方がより血色感をプラスすることができます。
次にメインカラーの紫ですが、これも使いやすいくすみカラーになっています。
また、ラメ入りの色を1つ作りました。私が日本のクリーンビューティーの化粧品を見て思ったのは、Z世代の子たちが惹かれるようなキラキラしたラメのアイシャドウがないということです。若者が手に取るきっかけになればいいなと思い、白いラメ入りの色を作りました。
最後に、パールのような質感のベースカラーがあります。これは、ラメよりもう少しおとなしめのメイクをしたいときにぴったりです。アイホール全体にこれを塗って上からマットの色を重ねれば、ツヤっぽい質感を簡単にプラスすることができます。あと、涙袋に使うのもすごくおすすめです。
このように、この4色で、マット、パール、ラメという3つの質感が楽しめるパレットになっています。

Q7. 製品のエシカルなポイントを教えてください。
OEMの方とお話をしたとき、アメリカのクリーンビューティーブランド・Credo Beautyさんが発表されている「The Dirty List」を参考にして、肌や環境などにとって悪影響をもたらすとされるもの以外の成分でコスメを作っていただくように依頼しました。使用不可の成分が多い中OEMさんに依頼したので、最初作っていただいたサンプルは発色や質感などの問題がありました。その中で何度も試作品のテストをし、OEMさんとも何度も話して理想の製品に近づけていきました。
また、パッケージもプラスチックではなく紙を使用することを考えています。クリーンさを考えてパッケージなしも検討しましたが、かわいいプラスチックのパッケージに慣れているZ世代へのハードルを下げるため、パッケージの中でも1番環境負荷が少ないであろう紙製にすることを決めました。

Q8. 製品開発中、苦しかったことや大変だったことはなんですか。
今年(2022年)の2、3月頃、「幸せって何?」と毎日考えてしまう時期がありました。その原因を今振り返ってみると、自分の情熱の根源「化粧品が大好き」ということを見失ってしまったからだと思います。ビジネスコンテストや大人の方向けにピッチをするときに、周りからの評価を気にしていたせいで社会問題のことを多く語って、自分の情熱の根源ではない部分を多く見せていたんですよね。なので、いつしか最初の情熱を忘れて、なぜこれに時間を割かなければならないのか、大学生活やサークルだけを楽しむのではなくなぜ今化粧品を作るのか、わからなくなってしまったんです。
でも、私が本当に作りたいものは何かと問いかけられて、真剣に考えて紙に書いたことでその思考から抜け出せたんですよね。そこで自分の情熱の根源を改めて発見することができて、自分が本当に作りたいものを作れているなら幸せだ、と思えるようになりました。

Q9. 今後挑戦していきたいことを教えてください。
Claireとしては、もっとインスタグラムを成長させていきたいです。3000人くらいに見てもらえている投稿もあるのですが、フォローに繋がっておらず定期的にはチェックしてもらえていないのが課題なので、リール動画の投稿などにもチャレンジしていきたいと思っています。また、Claireをコミュニティとして発展させたい思いもあるので、メンバーをどんどん増やしていきたいです。
Rulieの今の1番の課題は資金調達です。商品の製造などにすごくお金がかかるので、夏に集めるクラウドファンディングに向けてたくさんの人を巻き込んでいきたいです。
将来的には、社会問題に興味はあるけど実際にエシカルな製品を買ったことがない、という子にどんどんRulieのコスメを届けていき、クリーンビューティーの第一歩を踏み出すお手伝いができればと思っています。あと、初めて使った化粧品がクリーンビューティーブランドのものだったという子が増えれば、化粧品を選ぶときの基準として肌・環境・社会に優しいかどうかを気にする人が増えて行くんじゃないかと思うんですよ。なので、化粧をあまりしたことがない方向けに、Rulieのコスメを使って化粧を教える、みたいなイベントも開いてみたいなと思っています。
一般社団法人の方でやっている活動については、今後成分会社の方や専門知識がある方と協力し、学術的な知見に基づいて認証マークを作れるようプロジェクトを進めていきたいと思っています。

Q10. 記事を見てくれている若者にメッセージをお願いします。
「美人」とは何か考えてみてほしいです。辞書で引くと、「容姿が美しい女性」という定義が出てきますが、私的には美しい人ってそれだけなの?と疑問に思うんですよね。美しさには性別も関係ないし、容姿だけではなく内面の要素も含まれているんじゃないのかな、と。それで私は、美しくなる過程で何かを傷つけていないか配慮できる、クリーンビューティーを選択できる、ということが美しさの要素になりうると思っています。クリーンビューティーだけでなくとも、自分なりの価値基準を持って商品を選択できる人はとても「美しい人」なのではないでしょうか。皆さんもぜひ考えてみてください。
あと思うのは、エシカル消費をする際に、罪悪感とか義務感とかを中心に考えないでほしい、ということです。私も昔は罪悪感でクリーンビューティーの化粧品を使わなきゃと思っていましたが、今では、そういうものを使うのって純粋に心地良いんだということに気がつきました。エシカルな選択をすると、周りに優しいのはもちろん、自分自身のことも好きになれると思います。罪悪感というよりも、自分は本当にどういうものを使いたいのか、という視点でエシカル消費を考えてみてほしいです。

💐参考

Rulieに関わる社会課題やクリーンビューティーコスメについてもっと知りたい方は、こちらをご覧ください。

🌱クリーンビューティーについて

Kawahara, Seimu. “【保存版】クリーンビューティとは? おすすめブランド・コスメ16選。定義や注意成分もわかりやすく解説.” ELLE, 21 May 2021
www.elle.com/jp/beauty/wellness/a36439951/cleanbeauty-cosmetics-6uy-2021/

Miyu:Tokyo Vegan Girl. “Vegan & ECO Beauty // エコでヴィーガンな美容.” YouTube
https://youtube.com/playlist?list=PLgTp47LkD8WKX3gud5oDtOMDZUbwcyGCP/

澤田まり子. “オーガニックとクリーンビューティって何が違うの?.” WWDJAPAN, 17 Feb. 2022
https://www.wwdjapan.com/articles/1084077/

Kosai Rieko. “最近よく聞く「クリーンビューティー」の意味は?【美容のモヤモヤをすっきり解決】.” Vogue Japan, 12 Apr. 2022
https://www.vogue.co.jp/beauty/article/clean-beauty-the-best-answer/amp/

🌱化粧品と社会問題について

Balsamo, Lauren, and Ai Igamoto. “知らずに使っていない? ドクターが語る、できれば避けたい「美容成分5」.” Women’s Health, 8 Dec. 2018
www.womenshealthmag.com/jp/beauty/a66188/natural-skin-care-products-20181208/ 

外処康平. “動物実験反対・賛成それぞれの意見は?動物実験の「3R」についても理解しよう! | U25世代もSDGsを1から学べるメディア【なるほどSDGs】.” Naruhodosdgs.jp, 30 June 2021
https://naruhodosdgs.jp/3r/

六辻彰二. “コスメ産業に潜む人権侵害__日本の「エシカル」に足りないもの.” Yahoo!ニュース, 27 May 2021
https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20210527-00239782/

About Authors

Ethiteria運営者。長野県の高校に在籍しながらカナダの高校に通う高3。メディア運営、イベント開催、ポッドキャスト運営などを手がけたり、さまざまな課外活動を経験してきた。詳しくは「Our Story」へ。